社会インフラにイノベーションを ―― 安心・安全な暮らしを目指して ――
近年多発する自然災害や、急激な人口減少・少子高齢化などの社会構造の変化、さらには新型コロナウイルス感染症の世界的拡大など、現代における社会課題は年々複雑化・多様化し、その早急な解決が望まれている。第1回は、明電舎が事業を通してどのように社会課題と向き合い、私たちの安心安全な暮らしを支えているのかを、社会インフラ事業を率いるリーダーたちへのインタビューから紐解く。
ここに掲載のコンテンツは、日経ビジネス電子版Specialで2020年11月~2021年3月まで掲載した広告特集「電気よ、動詞になれ。より豊かな未来の実現に向けて」の転載です。
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常務執行役員兼
社会システム事業部
事業部長望月 達樹 -
執行役員兼
社会インフラ事業企画本部
本部長鈴木 岳夫 -
執行役員兼
水インフラシステム事業部
事業部長毛綿谷 聡 -
理事兼
電力・エネルギー事業部
事業部長岡本 洋介 -
発電事業部
事業部長増子 利健 -
電鉄システム事業部
事業部長今 伸一郎
前編では、とりわけ日本で顕著な社会課題を背景にした昨今のニーズに対するソリューションを紹介した。後編では少し先の未来を見据え、気候変動への対策や地域社会の自立に資する取り組みに焦点をあてる。
経済成長と環境対策がトレードオンする
持続可能な社会の実現を目指す
地球規模の温暖化による気候変動については、各国・地域でその対策が積極的に推進されている。だが、そのために経済が停滞することは許されない。
「こうした世界的な課題を解決するためには、あらゆる事業体がSDGsやRE100※1、SBT※2といった国際的なイニシアチブにのっとり、気候変動や環境問題への対応に積極的に取り組んでいく必要があります」。社会システム事業部長の望月は世界の潮流から国内のエネルギー戦略の未来を見据える。カギを握るのは再生可能エネルギーだという。
なかでも太陽光発電システムの導入は自治体・企業にとって様々なメリットがあるという。日本でその普及を後押ししてきたFIT (固定価格買取制度)が抜本的に見直され、「売電」としての再生可能エネルギーの価値は縮小。そんななか、太陽光発電では新たなニーズとして「自家消費」利用が注目されており、これからの再生可能エネルギーの普及拡大を後押しする。
「クリーンなエネルギーの活用はESGへの取り組みに直結し、新たな投資を呼び込む一助になり得るのです。なかでも太陽光発電はFITによりとりわけ普及が進み、その他の再生可能エネルギーと比較して導入しやすく、さらに、蓄電システムの併用により負荷平準化や災害時の非常用電源として利用されるなど、用途は今後も広がると予想されます」(岡本)
「当社の再生可能エネルギー事業は大正時代の横軸型水車発電機の生産に端を発し、現在では、水力・太陽光・風力など様々な再生可能エネルギーの導入について、計画・建設から保守サービスまでをワンストップで提供しています。こうした事業活動を通して、経済成長と環境対策がトレードオンする持続可能な社会の実現を目指しています」(望月)
再生可能エネルギーの利用は気候変動への対策に必要不可欠な取り組みであるとともに、国・地域や企業が持続可能な成長を続けるためにも必要な取り組みであるといえる。
※1 The Climate GroupとCDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)によって運営される企業の自然エネルギー100%を推進する国際ビジネスイニシアチブ
※2 SBT(Science Based Targets):世界自然保護基金(WWF)、CDP、世界資源研究所(WRI)、国連グローバル・コンパクトによる共同イニシアチブ。企業に対し、気候変動による世界の平均気温の上昇を、産業革命前と比べ1.5度に抑えるという目標に向けて、科学的知見と整合した削減目標を設定することを推進している
地域社会最適化の
カギを握るのはパートナーシップ
「現代における社会課題を解決し、これからの安心・安全な暮らしを実現するため、電気・ガス・上下水道・鉄道といったインフラや組織・企業、さらには地域といった枠組みを越えた全体最適を創造する取り組みをパートナーシップをもって進めることが不可欠だと考えています」
そう語る鈴木の言葉を受け、毛綿谷は「自治体はもちろん、電力会社、建設会社、機械メーカー、金融機関など、様々な分野で各事業者とパートナーシップを組み、それぞれが持つ技術・ノウハウを共有・展開することが要となる」と説明する。
水道分野では、2017年に明電舎を代表企業とした民間企業グループと群馬東部水道企業団とが共同出資し株式会社群馬東部水道サービスを設立した。このプロジェクトは建設工事関連業務だけでなく、取水から蛇口までの水道事業における包括的な業務を民間企業・企業団が共同出資した会社が請け負ったという点で大きな話題になった。「こうした官民連携の事業スキームにおいて、『民』主導の取り組みに期待が寄せられているのを感じています。今後も群馬東部のように私たち民間企業が積極的にパートナーシップを構築し、技術・ノウハウを共有・展開したソリューションの提供に積極的に取り組んでいきたい」(毛綿谷)。
また、地域社会の持つエネルギーリソースを活用した調整力※3への期待が高まっている。明電舎は、各自治体や企業に納めてきた各種電気設備の運用ノウハウなどを活かし、現在複数のバーチャルパワープラント(VPP)構築実証事業に参画しているという。「電力需要家側のエネルギーリソースを活用したVPPの実用化に向けて検証を進めています。自治体やメーカーなどの民間企業、学術機関をはじめとした多種多様なパートナーとコンソーシアムを形成し、需給調整市場への参入に向け、エネルギーリソース容量の拡大や、制御精度の向上、新たなビジネスモデルの構築を目指しています」(鈴木)。
従来の枠組みを超え、新たなパートナーシップで実現を目指す地域社会におけるインフラの最適化。それは、次代の安心・安全な暮らしを見据えた、社会インフラの再定義といえるのかもしれない。
※3 一般送配電事業者が、供給区域における周波数制御、需給バランス調整などを行うために必要となる発電設備、電力貯蔵装置、DR(デマンドレスポンス)、その他の電力需給を制御するシステムやその他これに準ずるものの能力のこと
より豊かな未来の実現を目指して
「社会課題と向き合うとき、我々は未来と向き合っているのだと思います。より豊かな未来を実現するため、当社の技術・ノウハウに新たな技術やパートナーシップを掛け合わせ、新しいソリューションを生み出していく。これは120年以上も社会インフラに携わってきた私たちだからこそ可能なことだと考えています」。鈴木の言葉に、各事業部長も頷く。「当社は今後、未来への道筋としてESGやSDGsの視点も交えながら、事業部間の連携を加速させ、多様なパートナーとともに『チームMEIDEN』で社会に貢献していくことを目指します」(望月)。
明電舎は1世紀以上にわたり、課題解決を通して人々のより豊かな未来を見据えて活動してきた。電気の力で 世の中を豊かに、という変わらない想いを胸に、そのビジネスモデルを大きく変化させ社会課題の解決に挑む明電舎への期待は高まる。