沼津事業所今昔物語

高度経済成長期真っ只中の1961年に竣工した沼津事業所。そもそも明電舎はなぜ沼津に拠点を築いたのでしょうか。
歴史的背景をひも解くとともに、時代の変化に合わせて生み出してきた製品や技術を紹介します。

1961

「世界に誇る変圧器工場」の誕生

1950年代後半、大崎工場の移転先として候補に挙がったのが沼津でした。電力事情がよく、工業用の地下水も豊富で、東京にも近く、鉄道による製品の輸送も見込め、10万坪のまとまった土地がありました。さらに、沼津市からの熱心な誘致活動と地域の温かい受け入れもあり、進出を決定。1961年2月24日に沼津工場の操業を開始しました。
変圧器工場は、当時の日本では珍しい真空乾燥設備焼却炉のほか、大型変圧器用の生産設備が導入され、「変圧器ならどんな大容量のものでもできる」というほどの世界に誇れる規模を実現。1961年に九州電力(株)様向けの大容量器(220kV 95MVA)の第1号機、翌年には中国電力(株)様向けに当時の当社記録品となる220kV 175MVA変圧器を出荷しました。

中国電力様向けの変圧器の完成パーティー

日本の高度経済成長期を支えた数々の製品

  • ・1964年に開通した東海道新幹線には多数の変圧器や開閉器、遮断器を納入
  • ・1969年、日本道路公団東名高速向けに遠方監視制御システムを納入
  • ・1970年開催の日本万国博覧会に合わせ、万博の西・北変電所に電力機器を多数納入
  • ・1972年、成田空港に滑走路照明用として初の大容量静止型無停電電源装置を納入
現在

未来のニーズに応える新たな拠点へ

日々熱心な議論が交わされる「デジタル・ラボ」

将来の予測が困難な時代にあって、お客様のニーズや市場環境も目まぐるしく変化し、これに応える製品やサービスが求められる現在。顕在化していない未来のニーズに対応する製品開発を行うため、2022年11月に「デジタル・ラボ」を開設。役割の異なるメンバーがチームを組み、計画から試験までを短期間で繰り返し行う「アジャイル型」の製品開発プロセスを導入しました。お客様やパートナー企業との共創による新たな価値の創出を目指しています。
製品では、北米での電力機器の需要拡大を受け、重要部品である真空インタラプタの生産ラインを増強。また、環境に配慮した特別高圧変電機器と合わせて、スマート保安技術モデルをパッケージとして提案する「GX特高変電製品」を開発し拡販を開始しました。さらに、カスタマーセンターの機能を強化し、リモート監視・運転支援業務の対象を拡大するなど、世の中のニーズに応えながら、沼津事業所は変化を続けています。

安定した電力網の構築に貢献する真空インタラプタ(VI)

拡販を開始した「GX 特高変電製品」