東芝ESSと明電舎が自然由来系ガスを用いたGISの共同開発を加速
― 2022年度中に製品化を目指し、カーボンニュートラルに貢献 ―
東芝エネルギーシステムズ株式会社(本社:神奈川県川崎市、代表執行役社長:小西崇夫、以下「東芝ESS」)と株式会社明電舎(本社:東京都品川区、取締役社長:三井田健、以下「明電舎」)は、六フッ化硫黄(以下「SF6」)を全く用いない自然由来系ガスを使用した72kVおよび84kVのガス絶縁開閉装置(以下「GIS」)の共同開発を2020年から進めてきましたが、環境に配慮した製品に対する市場の需要が高まっていることから、このたび、その開発・製品化を加速することにしました。具体的には両社は2022年3月までに、所定の規格に適合しているかを確認する形式試験を完了します。その後、2022年度中には量産化の体制を確立し、製品化を目指します。
今回開発するGISには、大電流遮断に真空遮断器(以下「VCB」)を適用し、機器の主回路絶縁や断路器、接地開閉器の電流開閉部分には「ドライエア」(窒素および酸素の混合ガス)を用いることで、絶縁性能や大電流遮断能力を確保します。今回、東芝ESSはGIS全体を、明電舎は主要部品であるVCB部分の開発を担当します。
東芝グループは、1960年代よりGIS開発に着手し、1969年には日本で最初となる72kV GISの商用運転開始に貢献するなど、GIS全体の製品開発ノウハウを多く持っています。一方、環境負荷低減対策として、自然由来系ガスを用いた機器の研究開発を15年以上行ってきました。
一方、明電舎はVCBに豊富な実績を持ち、2007年にSF6不使用の72.5kVタンク形真空遮断器(ドライエア絶縁)を米国市場に投入し、以降、日本国内では主に電力会社や、海外では北米、豪州を中心に納入しています。2020年には145kVクラスまで製品化しております。
今回、東芝ESSと明電舎のそれぞれの強みを生かすことで、性能・信頼性の高い製品を作ることが可能です。
今回開発する製品は、当初日本国内向けの供給を想定していますが、将来的には各社の事業戦略に基づき海外展開も視野に入れます。なお、今回共同開発しているGISは「SF6代替ガス検討会」注が提唱するSF6代替ガス技術の適用ガイドラインに沿っています。
両社は、今回開発する自然由来系ガスのGISの開発や製品供給を通じ、世界各国で推進されているカーボンニュートラル実現に貢献していきます。
製品開発の背景
GISは、送電線に異常が生じた場合に電流を遮断して他の電力機器への影響を防ぐための遮断器や、送電系統を切り換えるための断路器、避雷器、計器用変成器などから構成される設備です。
SF6は化学的に安定で、かつ高い絶縁性能や大電流遮断能力に優れており、過去50年以上にわたり全世界のGISを含む高電圧変電機器に多く用いられてきました。しかしながらSF6はCO2に比べて23,500 倍の高い地球温暖化係数(GWP)を有することから、 1997 年に京都で開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)において規制対象ガスの1つに指定されており、最近では各国でSF6を使用しない機器の開発が進んでいます。
このような中、東芝ESSおよび明電舎は自然由来系ガスを用い、地球温暖化係数が低く安全性の高いGISを開発することとしました。
注 「SF6代替ガス検討会」:SF6代替ガス技術に関する国内の産学共同検討会
本件及び取材に関するお問い合わせ先
株式会社 明電舎 コーポレートコミュニケーション推進部 広報・IR課
電話 03-6420-8100
東芝ESSと明電舎が自然由来系ガスを用いたGISの共同開発を加速(PDF:199KB)