株式会社明電舎（取締役社長 三井田 健／東京都品川区、以下明電舎）は、このたびAI（artificial intelligence）を用いたトポロジー最適化手法（注１、以下NGnet法）によるEV用モーターの設計支援プログラムを北海道大学（総長 名和 豊春／北海道札幌市、以下北大）と共同で開発しました。本設計支援プログラムにより、省エネ・高効率が求められている高性能なEV用モーターにおける最適なローター形状を自動で探索し、設計することが可能になりました。2012年から共同研究を行い、このたび開発を完了しました。

本設計支援プログラムは、EV用などで多く使われるPMモーターというローター内部に永久磁石を埋め込んでいるモーターの設計が対象です。従来は設計者の経験やシミュレーション及び実験データを基にローター内の磁石や空隙の形状を決めてきたのに対し、AIを用いることで最適な形状を自動で求められるようになりました。
本開発では、NGnet法の確立と実際にモーター設計へ適用した場合の有効性を確認しました。既存の最適化手法では、最適化結果に多くの空隙ができてしまうため実用に耐えませんでした。そこで材料が細かく分離しないNGnet法を開発し、実用に耐える形状が得られるようにしました。さらに、モーターの主要な特性であるトルクやトルクリップルだけではなく、モーター設計時に必要なエネルギー損失や強度も考慮し、自動でローターの最適形状を得ることが可能になりました。
また、複雑な最適形状から製作可能な形状にするためには手直しが必要になりますが、修正する際に形状の変更がどの程度モーター特性に影響するのかが分かりませんでした。そのため、モーター特性に強く影響するため変更してはいけない部分と、あまり影響しないため変更してよい部分が設計者に分かるように可視化するシステムを開発し、形状の修正を容易にしました。


今回開発した設計プログラムはAIを用いているため、従来は人では想像し得なかった形状を得ることが可能となり、さらに性能のよいモーターを設計出来る可能性があります。
また、設計したいモーター特性の目標値や条件を設定するだけで最適な形状を得ることが可能となるため、乗り心地の向上や騒音の低減、省エネ化向上など、お客様の要望に合ったEV用モーターを提供することが可能となります。
明電舎は今回開発した設計プログラムを用いて、EV用モーターをはじめ各種モーターの設計開発を積極的に進めてまいります。

注1）トポロジー最適化手法：対象空間にどのように材料を配置すれば良い特性が得られるかを探索する手法

※本プレスリリースで示した形状は研究用の形状であり、製品の形状ではありません。

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