国交省B-DASHプロジェクトに採択
高効率最初沈殿池による下水エネルギー回収技術の実証事業を行います
~カーボンニュートラル実現に向けた新しい下水処理技術~
株式会社明電舎(取締役社長 三井田 健/以下明電舎)は、大阪府大阪市(市長 松井 一郎/以下大阪市)と共同で提案した技術「高効率最初沈殿池による下水エネルギー回収技術に関する実証事業」が、国土交通省の2022年度下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)※に採択されたことをお知らせいたします。
この実証事業は、脱炭素や人口減少、社会情勢の変化などの課題に適応するため、既存下水処理場の最初沈殿池を「高効率エネルギー回収型沈殿池」に改良し、下水からのエネルギー回収により創エネを推進するとともに、省エネ、CO2削減、省メンテナンス、省コストなどの効果を実証するものです。
事業期間は2022年4月から2025年3月までの3か年を予定しており、大阪市住之江下水処理場において実規模実証を行います。
従来の一般的な下水処理工程では、流入水は、まず最初沈殿池で沈むものだけを分離し(初沈汚泥)、次に反応槽で曝気(ばっき:水に酸素を送り込む浄水処理)により微生物を活性化させて沈まないものを分解し、最後に最終沈殿池での処理を経て処理水として河川等に放流されます。この方式では送風機などで曝気用電力を消費するとともに、エネルギーとして利用可能な有機物まで分解され、かつ汚泥が増えるという課題がありました。
今回、大阪市と明電舎が提案した「高効率最初沈殿池」による処理工程では、反応槽に送り込む前段階でエネルギーとして利用可能な溶存有機物も回収し、消化ガス発電を増大化させます。また、反応槽での有機物の分解処理が減ることによる汚泥の低減により反応槽設備を縮小でき、消費電力の低減と省メンテナンス化も実現できます。
●提案技術の革新性
①下水未利用エネルギーの活用
従来、曝気により分解されていた有機物の一部をエネルギーとして回収します。
②既設の設備をコンパクトにリノベーション
高効率最初沈殿池では同じ池の中に設けた濃縮槽で汚泥濃縮処理(濃縮による減容)も併せて行われるため、重力濃縮槽の省略などにより設備更新が容易で、既存設備を有効活用したインフラの再構築が可能です。
③空気による駆動システムにより、省エネ、省コスト、省メンテナンスを実現
曝気と攪拌、流入出制御、汚泥引抜、汚泥濃縮といった工程をすべて空気制御で行うため、掻寄機やポンプなど機械の数が削減できます。
これらの技術により、人口減少に対応する下水処理設備のコンパクト化と、脱炭素化に貢献する下水処理システムのエネルギー自立化を実現します。
【提案技術の概要】
明電舎は今後も持続可能な下水道に貢献する製品・サービスの開発を進め、社会インフラを支える企業として邁進してまいります。
以 上
※ B-DASHプロジェクト(下水道革新的技術実証事業):
B-DASHはBreakthrough by Dynamic Approach in Sewage High Technology Projectの略で、下水道事業が抱える様々な課題に対応するために必要な新技術の開発・活用について、2011年度より、国が主体となって、実規模レベルの施設を設置して技術的な検証を行い、ガイドライン化して革新的技術の全国展開を図っていくことを目的として実施しているもの。
□明電舎 水インフラシステムWEBサイト
https://www.meidensha.co.jp/products/water/
本件及び取材に関するお問い合わせ先
株式会社 明電舎 コーポレートコミュニケーション推進部 広報・IR課
電話 03-6420-8100
高効率最初沈殿池による下水エネルギー回収技術の実証事業を行います(PDF:841KB)