~サステナブルな社会の実現を目指して~
エステル油入変圧器の製品ラインアップを拡充
株式会社明電舎(代表取締役 執行役員社長:井上 晃夫/東京都品川区、以下 明電舎)は、エステル油入変圧器の製品ラインアップに、新たに菜種油入変圧器を追加し、本年7月より販売を開始いたします。
明電舎は従来、絶縁冷却媒体としてパームヤシ脂肪酸エステル(以下、パームヤシ油)を採用したパームヤシ油入変圧器、同じく大豆油を採用した大豆油入変圧器、また合成エステルを採用した合成エステル油入変圧器を製品ラインアップとして取り揃え、JIS C 2390 生分解性電気絶縁油※1に規定される、3種のエステル(植物由来エステル、天然エステル(植物油)、合成エステル)のすべてをカバーしております。
国内では近年、環境配慮型の変電設備に対するニーズが高まっており、変圧器の分野においても、植物由来のエステルを採用した製品の需要が増加しています。とりわけ、火災に対する安全性に優れる「菜種油」の活用が進みつつあることから、明電舎においてもお客様の多様なニーズにお応えすべく、採用検証を無事に完了し、このたび菜種油入変圧器をラインアップに追加しました。
【菜種油入変圧器の主な仕様】
・電圧:特別高圧クラス
・タップ切換器方式:無電圧タップ切換または負荷時タップ切換
・絶縁油の循環方式:自然循環
【エステル油を採用した当社製変圧器のラインアップと各製品の特長】
① パームヤシ油入変圧器
植物由来エステルであるパームヤシ油※2は、変圧器の絶縁油に採用されるエステルの中で最も冷却特性に優れており、コンパクトなエステル油入変圧器を実現するのに最適です。またパームヤシ油は、化学的に安定した飽和脂肪酸構造のため、絶縁油の酸化安定性も鉱油と比べて向上しています。
② 菜種油入変圧器・大豆油入変圧器
天然エステルである菜種油・大豆油は、引火点・燃焼点が高いため、火災に対する安全性が特に重視される場所に設置する変圧器に適した絶縁油です。本年3月に総務省消防庁より発行された通知(消防予第205号)※3において、菜種油・大豆油のように燃焼点が300℃を超える植物油を採用した変圧器については、ある一定の要件を満たした場合、大型消火器の設置により、特殊消火設備(不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備または粉末消火設備)の設置を代替できるものとされました。なお、菜種油は日本で最も需要と生産量が多い植物油(油脂)※4であるため、安定的な供給を望むことができます。
③ 合成エステル油入変圧器
合成エステルは、エステルの中で最も低温域での流動性に優れる絶縁油であり、寒冷地に設置される変圧器に適しています。また、燃焼点は300℃を超過しており、火災に対する安全性が高いエステルです(植物油ではないため消防予第205号の対象外)。さらに、化学的に安定な分子構造であるため、絶縁油の酸化安定性は鉱油と比べて向上しています。
なお、パームヤシ油、菜種油及び大豆油は、植物油を原料とする絶縁油であるため、変圧器使用後の絶縁油の廃棄・焼却までのプロセスを含めたライフサイクルにおいて、石油由来の鉱油を絶縁油として採用する製品と比べ、温室効果ガスの排出量を削減することも可能です。
明電舎は今後も、より豊かで住みよい未来社会の実現に貢献するサステナビリティ・パートナーとして、お客様の安心と喜びのために、新しい技術と新たな価値の創造にチャレンジし続けます。
以 上
※1 JIS C 2390:2019 生分解性電気絶縁油: JIS C 2390の規格群は、第1部:合成エステル(JIS C 2390-1:2019)、 第2部:天然エステル(植物油) (JIS C 2390-2:2019)、第3部:植物由来エステル(JIS C 2390-3:2019)で構成されています。
※2 パーム油(油脂)は生産性が高く年間を通じて収穫できることから、生産量が年々増加している一方、生産拡大に伴う人権・労働問題や環境問題が指摘されています。当社は、事業が持続可能な開発に与えるリスクを認識し、これらの問題の解決に向けた取り組みを支持・推進している調達パートナーからパームヤシ脂肪酸エステルを調達する方針としています。
※3 総務省消防庁予報課長通知:消防予第205号(令和5年3月30日)
「消防用設備等に係る執務資料の送付について(通知)」
※4 農林水産省ウェブサイトより
https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1111/01.html
本件及び取材に関するお問い合わせ先
株式会社 明電舎 コーポレートコミュニケーション推進部 広報・IR課
電話 03-6420-8100