製品・サービス

エステル油入分路リアクトルの製品化
~サステナブルな社会の実現を目指して~

2024年05月08日


株式会社明電舎(代表取締役 執行役員社長:井上 晃夫/東京都品川区、以下 明電舎)は、環境に優しいエステル油を絶縁油に用いる製品として、既に販売を開始している変圧器に続き、新たに分路リアクトルをラインアップへ追加し、本年5月より販売を開始いたします。

分路リアクトルは系統電圧の安定化のために電力系統に接続される機器であり、系統が軽負荷となる夜間などに、ケーブル送電系統における受電端の電圧上昇を抑えます。今後、電力需要の増加や再エネの導入拡大に伴い、送配電網の整備がさらに進んでいくことなどから、堅調な需要が見込まれています。

近年、環境配慮型の変電設備として、鉱油を植物由来のエステルに代替した製品のニーズが増加していることから、このたび当社は、JIS C 2390 生分解性電気絶縁油※1に規定される3種のエステル(植物由来エステル、天然エステル(植物油)、合成エステル)をそれぞれ絶縁冷却媒体として用いる分路リアクトルを開発・製品化しました。本製品では、植物由来エステルとしてはパームヤシ脂肪酸エステル※2(以下、パームヤシ油)を、天然エステルとしては菜種油および大豆油を採用しています。

エステル油入分路リアクトルの仕様及び特長

・電圧:特別高圧クラス
・絶縁油の循環方式:自然循環

①パームヤシ油入分路リアクトル

植物由来エステルであるパームヤシ油は、絶縁油に採用されるエステルの中で最も冷却特性に優れており、コンパクトなエステル油入分路リアクトルを実現するのに最適です。またパームヤシ油は、化学的に安定した飽和脂肪酸構造のため、絶縁油の酸化安定性も鉱油と比べて向上しています。

②菜種油入分路リアクトル・大豆油入分路リアクトル

天然エステルである菜種油・大豆油は、引火点・燃焼点が高いため、火災に対する安全性が特に重視される場所に設置する分路リアクトルに適した絶縁油です。菜種油は日本で最も需要と生産量が多い植物油(油脂)※3であるため、安定的な供給を望むことができます。

③合成エステル油入分路リアクトル

合成エステルは、エステルの中で最も低温域での流動性に優れる絶縁油であり、寒冷地での設置に適しています。また、燃焼点は300℃を超過しており、火災に対する安全性が高いエステルです。さらに、化学的に安定な分子構造であるため、絶縁油の酸化安定性は鉱油と比べて向上しています。

なお、パームヤシ油、菜種油及び大豆油は、植物油を原料とする絶縁油であるため、分路リアクトル使用後の絶縁油の廃棄・焼却までのプロセスを含めたライフサイクルにおいて、石油由来の鉱油を絶縁油として採用する製品と比べ、温室効果ガスの排出量を削減することも可能です。

明電舎は今後も、より豊かで住みよい未来社会の実現に貢献するサステナビリティ・パートナーとして、お客様の安心と喜びのために、新しい技術と新たな価値の創造にチャレンジし続けます。

以 上


※1 JIS C 2390:2019 生分解性電気絶縁油: JIS C 2390の規格群は、第1部:合成エステル(JIS C 2390-1:2019)、 第2部:天然エステル(植物油) (JIS C 2390-2:2019)、第3部:植物由来エステル(JIS C 2390-3:2019)で構成されています。
※2 パーム油(油脂)は生産性が高く年間を通じて収穫できることから生産量が年々増加している一方、生産拡大に伴う人権・労働問題や環境問題が指摘されています。当社は、事業が持続可能な開発に与えるリスクを認識し、これらの問題の解決に向けた取り組みを支持・推進している調達パートナーからパームヤシ脂肪酸エステルを調達する方針としています。
※3 農林水産省ウェブサイトより(https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1111/01.html

参考リリース

2023 年 6 月 29 日
エステル油入変圧器の製品ラインアップを拡充
https://www.meidensha.co.jp/news/news_03/news_03_01/1243664_10499.html

本件及び取材に関するお問い合わせ先

株式会社 明電舎  
コーポレートコミュニケーション推進部  広報・IR課
電話 03-6420-8100