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シンガポール公益事業庁 トゥアス海水淡水化プラントに
セラミック平膜を用いた前処理プロセスの実証プラントを建設

2024年06月20日

株式会社明電舎(代表取締役 執行役員社長:井上晃夫/東京都品川区、以下明電舎)の現地法人 Meiden Singapore Pte. Ltd.(以下明電シンガポール)は、シンガポール公益事業庁(以下PUB)のトゥアス海水淡水化プラントにセラミック平膜を用いた前処理プロセスの実証プラントを建設します。この実証では、従来設備と比較し、省エネルギー化とあわせて、設備の省スペース化も期待されています。

背景

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の公表では、産業革命前と比べて気温が2度上昇すると、将来的に8~30億人が慢性的な水不足に陥ると推測されています。その解決策として注目される海水淡水化プラントですが、設備の稼働に大量の電力を必要とするため、省エネルギー化が課題となっています。明電シンガポールはPUBと共同で、2021年から海水淡水化の前処理プロセスにおける省エネルギー化に向けた共同研究を進めておりました。パイロットプラントの試験で良好な結果を得たことから、この度実証プラントの建設に着手します。

実証プラントの概要

トゥアス海水淡水化プラントは、逆浸透膜を用いた淡水化を行っています。その前処理となる不純物を取り除く工程にセラミック平膜を適用する今回の実証プラントは、トゥアス海水淡水化プラント内の既設加圧浮上設備を利用して設置され、2025年4月の完成予定です。(処理能力:約32,000m3/日)本プロジェクトはシンガポール政府のリビングラボスキーム※4のもと、明電シンガポールとPUBが共同出資します。

技術概要

従来、加圧浮上設備※1、ディスクフィルタ※2、限外ろ過膜※3の3工程を要した前処理プロセスをセラミック平膜ユニットによるろ過に簡略化することで、省エネルギー、省スペース化に加え、ライフサイクルコストの低減にも貢献します。また、既存の加圧浮上設備水槽内にユニットを格納することにより、設置コストを最小限に抑えます。

明電舎では、水の安定供給を国家の課題として抱えているシンガポールをセラミック平膜事業の中核拠点として位置づけており、2010年にPUBと水処理技術の共同研究に関する覚書(MOU)を締結して以降、シンガポール国内の様々な水処理プラントにおいて実証研究を進めてきました。

これらの事業活動を通じて、シンガポール国内のみならず、世界における水資源の確保や水の安定供給などの課題解決に努め、より豊かな社会の実現に向けて取り組んでまいります。

以 上

※1 水と空気に圧力を加えて発生した泡によって、液体中の浮遊物質を取り除く装置
※2 溝のあるディスクを重ね、その隙間に液体を通すことで、ろ過を行う装置
※3 膜の孔径と溶質の分子の大きさによって、小さな物質を除去するろ過膜
※4 水技術の検証や商業化を促進するための資金調達スキーム

セラミック平膜について(意匠登録済み「特許7363951号」等)

セラミック平膜エレメント

セラミック平膜ユニット

厚さ6mmのセラミック平膜には肉眼では視認できないほど細かい穴が無数に開いており、原水がその穴を通り抜ける際に不純物が濾過されます。中空構造となっており、内側の集水管を通して、きれいな濾過水を集めることができます。「優れた耐久性」「長寿命」「省エネ」といった特長を活かして、既存の有機膜と比較した際のランニングコスト(メンテナンス・膜交換費用)の節減を含む、高い経済性を実現します。

トゥアス海水淡水化プラント

2018年6月開所。PUBが所有・運営。
最大処理能力136,400m3/日を有し、20万世帯の水需要を賄うことが可能。

明電シンガポール

1975 年設立。
事業内容:変電製品の製造・販売、セラミック平膜ユニット組立・販売、エンジニアリング業務。
HP: https://www.meidensha.com/msl/

本件及び取材に関するお問い合わせ先

株式会社 明電舎  
コーポレートコミュニケーション推進部  広報・IR課
電話 03-6420-8100